この問題を曖昧に考え、他の投資と同じイメージを抱いてしまうと、思ったように利益が得られない、大きなリスクを抱えてしまうなどの危険があります。
私は、様々な投資ジャンルを実践し、長期投資と短期投資のどちらも経験していく中で、FXのポジション保有期間は短期間であるべきとの結論に達し、実際にパフォーマンスにもつなげてきました。
本稿では、多数の具体例を示しながら、FXのポジション保有期間が短期間であるべき理由を解説していきます。
FX初心者が必ず陥ってしまう勉強法をご存じでしょうか?
勉強は結果を出す為に行うものですが、やり方を間違えてしまうと、途方もない時間を費やす事になってしまいます。
FXの勉強の仕方について、ちょっとしたコツをご紹介しておりますので、気になる方は下記記事をご欄下さい。
FX最速勉強法1 | 通勤中に動画視聴しながらFXの勉強 |
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FX最速勉強法2 | FXアプリで少額エントリー |
FX最速勉強法3 | インプットとアプトプットをひたすら繰り返す |
FX最速勉強法4 | チャートの形を覚える |
FX最速勉強法5 | トレード記録をつける |
FXのポジションとは?
買いポジション・売りポジション
買いポジションは、今後値上がりすると思った場合に外貨を買い、値上がりした価格で売ることで利益を得るポジションです。
FXでは「ロングポジション」と表現することが多いです。
売りポジションは、今後値下がりすると思った場合に外貨を売り、値下がりした価格で買い戻すことによって利益を得るポジションです。
持っていない物を売るため「空売り」ともいい、買いポジションに比べてやや理解しにくいポジションです。
売りポジションを、FXでは「ショートポジション」とも表現します。
⇒【超基本】はじめはロング?ショート?違いやメリット・デメリットを解説
ポジションの解消(ポジションクローズ)
ポジションを手放すことを、「ポジションの解消」または「ポジションクローズ」といいます。
単に「(ポジションを)決済する」と表現することもあり、やや古い表現では「(ポジションを)手仕舞う」などということもあります。
このほか、含み益が出ている状態でポジションを解消する場合には「利確(利益の確定)」、含み損が出ている状態でポジションを解消する場合には「損切り(損失の出ているポジションを切る)」といいます。
これらの用語は頻繁に使われるため、ぜひ覚えておくべきです。
FXでポジションを保有する期間は?
実際に売買し、利益を得ていくためには、より深い理解が必要となります。
中でも、ポジションを保有する期間について、正しいイメージを抱くことが重要です。
というのも、ポジションの保有期間は投資対象によってかなり異なるためです。
FXと株式投資のイメージを混同すると危険
特に、何らかの形で株式投資に触れた後に、FXに取り組むケースが多いように思います。
これは、株式投資が投資の中でも最も一般的であり、身近であるため、投資に興味を持った人の多くが、まず株式投資を意識するためです。
本稿を読んでいる皆さんの中にも、株式投資をいくらか学んだことがある人や、実際に株式投資をやったことがある人も多いことと思います。
これにより、意識するとせざるとにかかわらず、株式投資のイメージをそのままFXに当てはめてしまうことも多いのですが、これは絶対に避けなければなりません。
なぜならば、株と外貨では、値動きの傾向、トレンドの継続期間、大きなトレンドで動く値幅など、様々な点で異なるためです。
ポジションの保有期間について、株式投資のイメージをFXにあてはめてしまうと、うまくいかない可能性が非常に高いです。
株式投資とFXの保有期間を比較する
株式投資のポジション保有期間
もちろん、銘柄によってトレンドの長さはずいぶん違いますが、基本的に数年単位でトレンドを描くと考えて差し支えありません。
このため、ポジションの保有期間も数年単位で考えるのが普通です。
ただし、配当金による利益だけを目的とするならば、そもそも買いポジションを解消する考えを持たないのですから、ポジションを保有期間は半永久的となります。
ここで重要なのが、数年にわたって生じる値動き、すなわちポジションを保有することで取れる値幅です。
株では、いわゆる「テンバガー」などのように、成長株ならば10倍以上も上昇することがあります。
このような暴騰を例外としても、2倍程度の値動きをみせるのが普通です。
特に、優良株ではこの傾向が顕著です。
実際に、過去20年間のホンダ株の値動きをざっくりみてみると、2000~2500円程度が底値圏、4000~4500円程度が天井圏で推移しており、2倍程度の値動きを繰り返しています。
したがって、株式投資の保有期間は、
「2倍以上の値動きを前提として、数年にわたってポジションを保有する」
と考えるのが一般的です。
FXのポジション保有期間
この意味において、FXも株と同じように、長期間にわたってポジションを保有する戦略が成り立ちます。
しかし、トレンドによって動く値幅を考えるならば、FXは株に比べて、ポジションの保有期間が短くなるのが普通です。
上記の通り、株では、大きなトレンドで数倍の値動きをみせるのが一般的です。
一方、FXでは、たとえ長期のトレンドであっても、2倍以上の値動きになることは基本的にありません。
例えば、過去10年間の主要通貨ペアの値動きを見てみると、以下の表のようになります。
通貨ペア | 大底 | 天井 | トレンドの期間 | 値幅(円) | 変動率(倍) | ||
日付 | 価格(円) | 日付 | 価格(円) | ||||
米ドル/円 | 2011年10月 | 75.670 | 2015年6月 | 125.851 | 3年8ヶ月 | 50.181 | 1.66 |
ユーロ/円 | 2012年7月 | 94.110 | 2014年12月 | 149.784 | 2年5ヶ月 | 55.674 | 1.59 |
ポンド/円 | 2011年9月 | 116.870 | 2015年6月 | 195.874 | 3年9ヶ月 | 79.004 | 1.68 |
豪ドル/円 | 2008年10月 | 55.020 | 2013年4月 | 105.405 | 4年6ヶ月 | 50.385 | 1.92 |
すべての主要通貨ペアで、長期上昇トレンドにおける上昇率は2倍以下であることが分かります。
また、実際の投資では、最安値で買って最高値で売ることは不可能であり、大底のいくらか上で買い、天井のいくらか下で売るのが普通ですから、期待できる値幅はよくて1.5倍程度と見積もるのが妥当でしょう。
もっとも、マイナー通貨、特に発展途上国の通貨では2倍以上の値動きになることもあり、実際に南アランド/円は長期の下落トレンドが続いた結果、過去10年間で約70%下落(最高値と最安値の乖離は約3.5倍)しています。
このような例外はあるものの、大多数の人が取引している主要通貨では、数倍規模の騰落が起こる可能性は極めて低いです。
つまり、
- 株式投資では、ポジションを数年にわたって保有することで、数倍の値動きと大きな利益が期待できる
- FXでは、ポジションを数年にわたって保有しても、数倍の値動きと大きな利益は期待できない
という違いがあるのです。
この違いによって、FXの保有期間は、
「数倍の大きな値動きを前提として、数年にわたってポジションを保有するものではない」
といえます。
そして、FXは株に比べて、値動きの小さい、短期間のトレンドが多く出現します。
このため、株にイメージされる長期トレンドと大きな値動きではなく、比較的短期のトレンドと小さな値動きによって、FXにふさわしい保有期間を考えなければなりません。
すなわち、
「FXでは、値動きの小さい短期のトレンドで利益を取るべきであり、ポジションの保有期間も短い傾向がある」
というイメージを持つことが大切なのです。
ポジション保有期間の短期化で高パフォーマンス
投資では、より良いパフォーマンスを常に目指すべきであり、ポジション保有期間がパフォーマンスに与える影響も、初心者のうちからぜひ知っておくべきです。
FXでは、ポジション保有期間の長期化によってパフォーマンスが低下しやすく、逆にポジション保有期間の短期化によってパフォーマンスの上昇が期待できます。
このことについても、具体的に見ていきましょう。
FXで長期保有した場合のパフォーマンス
具体的に比較してみましょう。
【株の場合】
株で買いポジションを取り、4年後に株価が3倍になったと仮定した場合、投資額に対する収益率は4年間で200%、1年あたり50%です。
【FXの場合】
上記でも示した通り、直近の10年間における米ドル価格は、3年8ヶ月かけて75.670円から125.851円まで上昇しました。
このトレンドで買いポジションを取り、3年8ヶ月後にポジションを解消して1.5倍の上昇を取ったと仮定すると、投資額に対する収益率は3年8ヶ月間で50%、1年あたり約14%となります。
抜群のタイミングでポジションを取ったにしては、大した利益が得られていません。
以上のように比較すると、FXではポジションの保有期間が長期化すればするほど、パフォーマンスが伸び悩むことが分かります。
もちろん、高いレバレッジをかけたポジションを長期間保有すれば、株をはるかに上回るパフォーマンスが期待できます。
しかし、長期にわたって保有する場合、保有期間中に急変動に遭遇する確率も高まるため、ハイレバレッジでの長期保有は現実的ではありません。
FXで短期保有した場合のパフォーマンス
まず、ポジションの保有期間が短期間であれば、保有期間中の急変動によるリスクも低く、FXの特徴であるレバレッジを利かせた取引が可能です。
したがって、レバレッジによるパフォーマンスの大幅な向上が期待できます。
となると、保有期間に関係なく、同程度のリスクがあるように思えます。
しかし、短期保有の場合、短期間の比較的小さな値動きを狙うため、個々のポジションで取るべき値幅は小さく、損切りの基準も相対的に小さくなります。
【株の場合】
上記の具体例と同じく、株で1年あたり50%の高パフォーマンスを実現した場合と比較してみます。
株に10万円投資し、1年間で50%上昇した場合、得られる利益は5万円です。
【FXの場合】
レバレッジを10倍とすれば、1USD=100円の時、同じく10万円の資金で買える米ドルは1万USDです。
1万USDの買いポジションを取り、1円上昇した場合に得られる利益は1万円です。
値動きベースで考えると、米ドル価格の上昇率はわずか1%であり、株価の上昇率50%の1/50に過ぎません。
ところが、利益ベースで考えると、FXではたった1円の上昇によって、株の1/5の利益が得られることが分かります。
FXでポジションを長期間保有する場合、上昇率の低さとレバレッジのかけにくさが重石となり、パフォーマンスが低下しました。
しかし、ポジションの保有期間が短期間であれば、レバレッジの効果によって、低い上昇率でも大きな利益を取ることができるのです。
短期トレンドの頻度
実際に、2020年(年初から11月27日現在まで)の米ドル/円では、1日で動く値幅(その日の最安値と最高値の価格差)が1円以上の日が46日ありました。
1日の中で1円の値幅を的確に取ることは難しいとしても、数日あるいは1~2週間程度の短期トレンドの中で、1円以上の値幅を取ることは十分に可能です。
もちろん、ポジションをもう少し長く保有することで、2円、3円の値幅を取ることも考えられます。
1円の値幅を6回取れば株のパフォーマンスを上回り、そこからさらにパフォーマンスを高めることもできます。
FXでパフォーマンスを高めるには、ポジションの保有期間を短く区切っていくことが重要なのです。
FXの保有期間をコントロールしてメリットを最大化しよう
本稿の比較では、株式投資で年利50%の場合を例としましたが、このような高パフォーマンスは短期的には可能であっても、長期間維持するのはほぼ不可能です。
パフォーマンスの安定性に優れるインデックス投資では、長期間の平均的な利回りは年5~10%程度とされています。
FXでは、ポジションの保有期間を短期化することによって、年間5~10%程度のパフォーマンスを出すことは極めて容易であり、むしろ大きく上回るパフォーマンスを実現することも十分に可能です。
レバレッジをうまく活用するためには、ポジションの保有期間の短期化がカギとなります。
⇒FXのレバレッジをやさしく解説!計算方法~賢いかけ方まで
FXにおいて、ポジションの保有期間を短くすることは、FXのメリットを最大化することにほかならないのです。
FXの保有期間に関してよくある質問
「FXの保有期間は長期間・短期間のいずれがよいか?」という疑問のほか、初心者の抱きやすい疑問のひとつに「塩漬け」に関するものがあります。
特に多い質問としては、
- 塩漬けはなぜいけないのか?
- 「塩漬け」とは、保有期間がどれくらいの場合を指すのか?
などが挙げられます。
塩漬けはなぜいけないのか?
塩漬けを肯定する意見では、たとえ含み損を抱えていても、長期にわたって放置するうちに含み損が解消されることも多いからです。
塩漬けを避けて損切りすれば、含み損(未実現損益)は実際の損失(実現損益)となり、口座から損失分が確実に差し引かれます。
塩漬けによって含み損が解消されるならば、損失は実現することはなく、結果的に「良い判断であった」とも考え得るのです。
一方、塩漬けを否定する意見では、
- 長期にわたって含み損が解消されず、むしろ拡大の一途をたどる可能性も十分にあること
- たとえ含み損が解消されたとしても、長期間の保有の末に損益がゼロになるだけであって、パフォーマンスは非常に悪いこと
などを理由としています。
確かに、塩漬けを避けるには損切りが必要であり、損失も被りますが、早い段階で損切りすれば損失は軽微です。
塩漬けという「固定されたポジション」を抱えることもなく、再び計画を練り直し、利益を取っていくならば、損切りによる損失はカバーでき、パフォーマンス的にもプラスの効果が見込めます。
すでに解説した通り、FXでは、利益の出ているポジションでさえ、パフォーマンスの低下を招くのです。
ましてや、含み損が出ているポジションを塩漬けによって長期保有するならば、FXでの成功は覚束ないでしょう。
⇒FXで損切り貧乏になってしまう4つの理由と抜け出す為のマイルール
「塩漬け」とは、保有期間がどれくらいの場合を指すのか?
初心者の中には、「塩漬け=保有期間が〇ヶ月以上のポジション」といった考え方、つまり保有期間から塩漬け状態か否かを判断しようとする傾向があります。
しかし、塩漬けは保有期間から考えるものではなく、ポジションがどのような状態にあるかによって考えるものです。
つまり、含み損を抱えたポジションを長期保有するだけが塩漬けなのではなく、たとえ短期間であっても、不利なポジションを抱えた状態であれば塩漬けといえるのです。
例えば、下落トレンドが継続する中で建てた買いポジションであれば、たった数日あるいは数週間といった短期間の保有でも、
- 含み損を抱えている
- ポジションに不利な値動きが続いており、含み損が拡大している
- ただ保有し続ける以外に何の対処もしておらず、無計画である
といったことから、十分に「塩漬けである」といい得るのです。
塩漬けと保有期間の関係を正しくとらえることも、ポジションの保有期間を考えるうえで重要です。
このような視点は、ぜひ初心者のうちから身に着けておきましょう。
※塩漬けについて、詳しくはこちら
→損切り解説記事へのリンク
まとめ
その思いを実現するためには、他の投資とFXの違いをよく理解し、ポジションの保有期間を正しく考えることが大切です。
ぜひ、初心者のうちから「ポジションの保有期間は基本的に短く」を意識しながら取り組んでください。
FXは考え方次第で利益を着実に生み出す事が可能です。
FXの特性上、短期的に利益を大きく取りに行けるので、ギャンブル性が高いようにも思えます。
ただ「FXで負けてしまう行動を徹底的に抑える事」で、着実に利益を生み出す事ができます。
ぜひ、堅実なFXライフを送るための考え方をご欄下さい。