誰もが利益を得たい、資産を増やしたいと思ってFXを始めます。
しかし、利益を得られる可能性があると同時に、損失を被る可能性もあるのがFXというものです。
基礎知識さえ持たずに始めるのは、あまりにも危険です。
私はこれまで、FXや株などに10年近く取り組んできました。今ではそれなりに安定した利益が得られていますが、多くの失敗も経験してきました。
その経験からも、基礎知識の重要性を強く感じています。
この記事では、FXの基礎知識の中でも「超基本」であるロングとショートの仕組みや違い、注意点について詳しく解説しています。
これを読めば、ロングとショートの超基本的知識が全て分かり、なおかつ脱初心者のきっかけにもなるはずです。
FX初心者が必ず陥ってしまう勉強法をご存じでしょうか?
勉強は結果を出す為に行うものですが、やり方を間違えてしまうと、途方もない時間を費やす事になってしまいます。
FXの勉強の仕方について、ちょっとしたコツをご紹介しておりますので、気になる方は下記記事をご欄下さい。
FX最速勉強法1 | 通勤中に動画視聴しながらFXの勉強 |
---|---|
FX最速勉強法2 | FXアプリで少額エントリー |
FX最速勉強法3 | インプットとアプトプットをひたすら繰り返す |
FX最速勉強法4 | チャートの形を覚える |
FX最速勉強法5 | トレード記録をつける |
ロング・ショートの特徴と仕組み
ロングとショートは、売買に伴って用いられる用語です。
まずは、ロングとショートの基本的な意味・特徴・仕組みなどを学んでいきましょう。
【FX用語】ロング・ショートの意味とは?
一般的な知識では「ロング=長い」「ショート=短い」であり、そのように考える人も多いことと思います。
しかし、FXにおける「ロング」「ショート」は、以下のように全く違う意味で用いられます。
(ロングポジションを「買い持ち」や「買玉(かいぎょく)」と表現することもある)
(ショートポジションを「売り持ち」や「売玉(うりぎょく)」と表現することもある。また、保有していないものを売ることから「空売り」と表現することも多い)
ロングの仕組み
USD/JPY(米ドルと日本円の通貨ペア)を1000通貨買った場合には、「USD/JPY・1000通貨のロングポジション」と表現します。
ロングでは、買った価格よりも値上がりした価格で売却することで、値上がり分が利益になります。
逆に、値下がりした価格で売却すれば、値下がり分が損失となります。
例えば、1USD=100円の時にロングポジションをとり、1USD=105円まで値上がりすれば、1USDあたり5円の利益が得られます。
したがって、ロングは証券や外貨の価値が将来上昇することを期待して取るポジションといえます。
ショートの仕組み
USD/JPYを1000通貨売った場合には、「USD/JPY・1000通貨のショートポジション」と表現します。
ショートでは、売った価格よりも値下がりした価格で買い戻すことで、値下がり分が利益になります。
逆に、値上がりした価格で買い戻せば、値上がり分が損失となります。
例えば、1USD=100円の時にショートポジションをとり、1USD=95円まで値下がりすれば、1USDあたり5円の利益が得られます。
したがって、ショートは、証券や外貨の価値が将来下落することを見込んで取るポジションといえます。
しかし、ショートでは持っていないものを売るところから始めるため、分かりにくいと感じる人も多いはずです。
分かりにくければ、単純に「ショートは、下落で利益が得られるポジション」といった解釈でも問題ありません。
ロングとショートはどっちが難しいか
上昇局面ではロングポジションを、下落局面ではショートポジションを取ることで利益を得ることできます。
いずれも価格変動によって利益を得る点では変わらず、どちらが特に難しいというものではありません。
ロング・ショートの両方を使いこなせるならば、上昇相場でも下落相場でも利益を得られます。
ロングだけ、あるいはショートだけで取引するのに比べて、収益機会は二倍になるのですから、どちらでも取引できるのが理想的です。
FX初心者はロングポジションから始めよう
まず、ロングはショートに比べて仕組みが理解しやすいため、ショートから始めるよりも抵抗が少ないでしょう。
また、ロングはショートよりも、ポジションをとるタイミングが分かりやすいことが多いです。
上昇を狙うロングではできるだけ安い価格で買い、下落を狙うショートではできるだけ高い価格で売ることを目指します。
このとき、相場の大底(最も安い価格)からの上昇は緩やかであることが多く、ロングはタイミングを掴みやすいです。
しかし、天井(最も高い価格帯)からの下落は激しいことが多く、ショートはタイミングが掴みにくいのです。
ショートポジションの難しさ
下落相場では多くの投資家が悲観的になっており、積極的に買おうとする人が少ないものです。
上昇相場に転換する局面でも、短期間で急激に買いが殺到して急激に上がり始めるのではなく、徐々に買いが増えてゆっくりと上昇を始めるのが普通です。
下落の勢いが徐々に弱くなり、やがて下げ止まり、徐々に上昇の兆しが現れた後に上昇傾向が明らかになるという流れです。
上昇に転じた相場では、長期間にわたって上昇を続けるうちにロングポジションをとる投資家が増え、徐々に上げ幅も大きくなっていきます。
多くの投資家が楽観的になり、積極的に買いが入り、暴騰(非常に強い上昇)を見せることもあります。
上昇相場でロングポジションを取った投資家は、やがて売ることで利益を得たいと考えています。
つまり、それまで上昇をもたらした買いの動きが、将来的には下落をもたらす売りの動きになるということです。
大きな戦争や災害など、世界経済に大きな打撃を与える悪材料が現れた場合には、多数のロングポジションが一斉に売られて暴落(非常に強い下落)を招きます。
短期間で急激に下落すれば、ショートポジションを取るタイミングが掴みにくくなります。
スピード感でもロングがおすすめ
天井・大底での値動きに加えて、「大底から天井へ向かう上昇相場」と「天井から大底へ向かう下落相場」のスピード感は大きく異なります。
では、上昇相場と下落相場の値動きは、どのように違うのでしょうか。
スピード感の違いを具体的につかむために、長期間の過去データ(1973年の変動相場制開始以降、それぞれの通貨ペアで可能な限り長期間)から、1日当たりの平均の値動きを見てみましょう。
(右スクロール可)
上昇速度 (銭/日) | 下落速度 (銭/日) | 倍率 (下落速度/上昇速度) | |
---|---|---|---|
米ドル/円 | 4.67 | 7.17 | 1.54 |
ユーロ/円 | 4.93 | 8.75 | 1.77 |
英ポンド/円 | 6.50 | 14.72 | 2.26 |
豪ドル/円 | 3.36 | 4.96 | 1.48 |
NZドル/円 | 3.95 | 5.85 | 1.48 |
(出典:松本鉄郎著『勝者のCHART』)
すべての通貨ペアにおいて、少なくとも1.5倍以上の差があるのです。
なお、この傾向はFXに限ったことではなく、どのような相場でも同じ傾向がみられます。
例えば、日経平均株価の上昇速度と下落速度を長期間で見た場合にも、下落速度のほうが1.4~1.5倍程度速くなります。
足の速い相場では、ポジションを取るタイミングが分かりにくく、それなりに勇気もいるため、初心者には難しいものです(相場では、値動きの速いことを「足が速い」、遅いことを「足が遅い」と表現することがあります。これも合わせて覚えておくと良いでしょう)。
値動きのスピードから考えても、初心者にはロングがおすすめであるといえます。
ロングとショートのメリット・デメリット
ショートよりロングの方がメリットが大きいということではなく、どちらにもメリット・デメリットがあります。
将来的には、ロング・ショートのどちらでも利益を取っていくために、それぞれのメリット・デメリットを学んでおく必要があります。
なお、何に対しても言えることですが、メリットとデメリットは表裏一体、コインの表と裏のようなもので、メリットの中にはデメリットが含まれ、デメリットの中にはメリットが含まれるものです。
「メリットだけを見て、その中に含まれるデメリットを無視してしまう」といった危険を避けるためにも、メリット・デメリットを同時に学ぶことが重要です。
ロングのメリット・デメリット
ロングの主なメリットは
- 値動きが緩やかであること
- スワップポイントが得られること
の二点です。
細かいことを言えば色々ありますが、初心者はまずこの二点を知っておくのが良いでしょう。
このメリットと、そこに含まれるデメリットは以下の通りです。
値動きが緩やかである
このため、タイミングをよく見定め、落ち着いてポジションを取れるメリットがあります。
しかし、裏を返せば、「相場の流れが一気に変わった」と即座に分かるような値動きが起こりにくく、「ここでロングだ」と判断するまでに時間がかかり、出遅れてしまうこともあります。
また、トレンド最中の値動きが緩やかであれば、大底から天井に到達するまでに時間がかかります。
長いトレンドの最中で一時的な下落が起こり、迷いが生まれることもあります。
このとき、天井よりずいぶん手前の段階でポジションを決済してしまうような失敗を犯す可能性もあります。
このようなデメリットを踏まえ、出遅れても今後上昇すると思えばしっかりロングする、一時的な下落が起こっても、決済すべき明確な理由がなければポジションを維持するといった姿勢が必要になります。
スワップポイントが得られる
⇒人気のスワップポイント銘柄を徹底比較!損しない為の4つの注意点とは?
FXでは、多くの人が米ドル/円やユーロ/円など、日本円と外貨のペアを選びます。
日本円の金利は世界的にみて非常に低いため、ロングした場合に多くの通貨ペアで金利差がプラスになり、スワップポイントを受け取ることができます。
このため、ただポジションを持っているだけで利益が得られることも、ロングのメリットです。
しかし、取引単位当たりのスワップポイントは、価格変動によって生じる損益に比べれば微々たるものです。
このことによって、
「上昇相場でロングすれば、値上がり益とスワップポイントの両方が得られる」というメリットがある一方で、
「下落相場でロングすれば、スワップポイントを大きく上回る値下がり損が発生し、損失に終わる」というデメリットもあります。
ショートのメリット・デメリット
すでにロングのメリット・デメリットを学んだ皆さんには、ショートのデメリットから入るのが分かりやすいでしょう。
ショートの主なデメリットは
- 値動きが激しいこと
- スワップポイントがマイナスであること
の二点です。
値動きが激しい
すでに解説した通り、天井を打った相場が下落に突入する際の値動き、そして下落の最中の値動きはどちらも大きくなる傾向があります。
このため、相場の転換期にショートポジションを取るタイミングがつかみにくい、出遅れた後も素早く下げ続けるためポジションが取りにくいといったデメリットがあります。
上昇相場では、上昇が上昇を呼んで加速度的に上げていくことが少ないのですが、下落相場では、下落が下落を読んで加速度的に下げていくことがよくあります。
このため、転換期の大きな下げに対応できずとも、その後できるだけ早くショートポジションを取ることで流れに乗り、短期間で大きな利益を取れる可能性があります。
つまり、下げ足が速いからこそ、出遅れても利益を伸ばしやすいというメリットがあるのです。
スワップポイントがマイナスである
ロングでは、金利の低い日本円を売って金利の高い外貨を買うことで、スワップポイントが得られます。
ショートはこの逆になるため、金利差がマイナスになり、スワップポイントによる損失が発生します。
ショートポジションを持っているだけで、スワップポイント分のマイナスが毎日計上されるのですから、これはデメリットに違いありません。
ただし、すでに書いた通りスワップポイントによる損益は、価格変動によって生じる損益に比べて極めて小さいものです。
さらに、下落相場は下げ足が速く、ショートポジションを持っている期間も短いです。
このため、下落相場でうまくショートするならば、スワップポイントによる損失は、値下がりによる利益で簡単に回収できます。
したがって、
「上昇相場でショートした場合、値上がりによる損失に加えて、スワップポイントによる損失が発生する」というデメリットがある一方で、
「下落相場でショートした場合、値下がりによる利益が、スワップポイントをはるかに上回る」ともいえます。
これは、ショートのメリットとは言えませんが、スワップポイントは特に慌てるような重大なデメリットではないのです。
ロングを取り組む際の注意点
さっそくロングポジションを取ってみようと意気込む人もいるかと思います。
しかし、実際の取引では、単に「ロングする」という判断に加えて、「ロングポジションをどれだけとるか」を考え、数量を決めたうえで注文を出す必要があります。
そこで、もう一歩踏み込んだ知識として、ポジションの取り方・考え方を学んでおきましょう。
注意点1. どれくらいのポジションをとればいい?
⇒FXのレバレッジをやさしく解説!計算方法~賢いかけ方まで
1USD=100円の時に1万USDのロングポジションを取るには、本来ならば100万円が必要です。
しかし、25倍のレバレッジをかけることで、証拠金が4万円あれば取引できます(100円×1万通貨÷25倍=4万円)。
株式投資にも類似の仕組みがありますが、レバレッジは最大で3倍までです。
25倍までレバレッジをかけられることが、FXの大きな魅力でもあります。
とはいえ、少ない資金で多額の取引をすれば、手元資金の多くを失う可能性があるため、注意が必要です。
ロング・ショートのどちらから始めるにせよ、適切な量のポジションを取ることが非常に重要です。
⇒【要注意】FXで証拠金維持率を安全に保てる割合とは?
注意点2. 許容損失額から逆算する
初心者は経験が浅く、最初から安定して利益を取れることはないでしょう。
このため、ある程度損失が続くことを想定して、許容損失額からポジションの量を逆算するのがポイントです。
10万円の証拠金で始める場合、最大で250万円まで取引できます。
1USD=100円であれば、レバレッジ25倍で2.5万通貨までの取引が可能です。
このような取引を繰り返していれば、短期間で資金の大部分を失ってしまうでしょう。
もし、レバレッジ10倍で1万通貨のロングであれば、同じ場合の損失は1万円に抑えられます。
取引を繰り返しながら経験を積んでいくことができるため、初心者はレバレッジを抑え、少ないポジションで取引すべきです。
一般的に、取引一回あたりの許容損失額は、手元資金の10%までとされます。
もちろん、自信がつくまでは許容損失額を手元資金の5%程度に見積もって、ポジションの量を抑えるのも良いでしょう。
⇒FXで利益を積み上げる資金管理方法!ロット・レバレッジで損失を限定
まとめ
ロング・ショートの仕組みは、簡単に理解しておけば問題ありません。実際に取引するうちに、ごく当たり前の知識として身につくことと思います。
FXで利益を得るためには、知識だけではなく経験が重要です。初心者の方は、まずは小さなポジションのロングから初め、経験を積んでいくことをおすすめします。
FXは考え方次第で利益を着実に生み出す事が可能です。
FXの特性上、短期的に利益を大きく取りに行けるので、ギャンブル性が高いようにも思えます。
ただ「FXで負けてしまう行動を徹底的に抑える事」で、着実に利益を生み出す事ができます。
ぜひ、堅実なFXライフを送るための考え方をご欄下さい。