FXを始めるにあたって「証拠金」というキーワードはつきまといます。
証拠金の意味を知らなくてもトレード自体はできますが、知らないままトレードを始めてしまうと大変なことになってしまうかもしれません。
ここでは、FXの証拠金にまつわる大事なポイントを押さえて徹底的に解説していきますので、ぜひ最後までご覧になって知識を蓄えてください。
▶長期トレード(スイング)であれば、証拠金維持率500%以上が安全圏内
FXの「証拠金」とは
一定の担保を用意すれば通常の資金以上のポジションを保有できます。
仮に100万円分のポジションを保有したい場合、本来であれば100万円必要ですが、一定の証拠金を預けることでそのポジションを保有可能。
このように、FXの証拠金は少額でも大きなポジションを持てる仕組みです。
「証拠金取引」とは
同じ投資でも株式投資では売買の都度に代金が引き渡される一方、証拠金取引の場合は売買の決済で生じた損益のみが引き渡されます。
この仕組みは差金決済と呼ばれ、新規にポジションを保有するときは必要ありませんが、損失に対応するために一定の資金を預けなければなりません。
この預けることは前の項目で説明した証拠金になり、そして証拠金を用いてトレードすることを証拠金取引と呼んでいます。
「必要証拠金」とは
その最低限の必要証拠金を用意しなければポジションを保有できません。
このように、必要証拠金は現在の為替レートと保有したいポジションによって異なるため、事前に確認しておくことが大事です。
「証拠金維持率」とは
証拠金維持率が一定以下まで低下すると、強制的にポジションが決済されるロスカットになることもあります。
特にハイレバレッジトレードをする場合、あっという間に証拠金維持率が下がってしまうこともあり、証拠金維持率について気を配らなければなりません。
FXの証拠金維持率が安全圏内である目安は?
証拠金維持率についてある程度理解できると、次に重要なのがどの程度、証拠金維持率を担保しておけばよいのかという目安です。
これはあくまで個人的な目安になりますが、短期トレードやデイトレードでは、証拠金維持率300%以上あれば安全圏かと思います。
証拠金維持率が下がる事で、ロスカットや追証リスクが高まりますので、トレード画面で確認する癖をつけておきましょう。
【トレード手法別】証拠金維持率の安全圏内である目安
ロスカットや追証リスクを考慮した証拠金維持率の目安をトレード手法別にご紹介しておきます。
(※スマホは右へスクロール)
トレード手法 | レバレッジ | 証拠金維持率 |
---|---|---|
スキャルピングトレード | 10倍 | 250~300% |
デイトレード | 10倍 | 250~300% |
スイングトレード | 2倍~5倍 | 1250%~500% |
長期トレード | 2倍~5倍 | 1250%~500% |
先程もご紹介した通り、スキャルピングやデイトレードの短期トレードは、レバレッジ10倍/証拠金維持率は250~300%程度が安全圏内であると言えます。
短期トレードですと、急な相場変動にも比較的迅速に対応できる為、レバレッジを少し大きめにしてもリスクバランスがとれるかと思います。
例えば米ドル100円/10,000通貨/レバ10倍の取引をする場合、10万円の資金が必要となりますが、安全圏内でトレードしたい場合は、25万円~30万円程度の必要証拠金が必要となります。
また、スイングトレードや長期トレードは、レバレッジ2倍/証拠金維持率1,250%程度が安全圏内であると言えます。
スイングや長期トレードは、長い期間での取引となるので、急な相場変動にも対応できるような証拠金で取引する事が望ましいです。
「必要証拠金」「証拠金維持率」の計算方法
仮に米ドル/円の為替レート100円でレバレッジ25倍、10,000通貨の場合は以下のとおりです。
上記の条件での必要証拠金は40,000円になりました。
証拠金維持率の計算方法は、以下のとおりです。
仮に口座資金100,000円、為替レート100円のレバレッジ25倍で10,000通貨の場合は以下のとおりです。
証拠金維持率はポジションを保有していた場合、損益によって変化することを覚えておきましょう。
FXの通貨取引単位・レバレッジで必要証拠金は変動する
必要証拠金が変動するケース【通貨取引単位編】
ここでは米ドル/円でレバレッジ25倍、為替レートは100円と仮定した場合の各通貨取引単位の必要証拠金を以下に示しました。
- 1通貨=4円
- 10通貨=40円
- 100通貨=400円
- 1000通貨=4,000円
- 10000通貨=40,000円
このように通貨取引単位毎の必要証拠金は異なるため、自身の資金を考慮したうえで取引単位を決めるようにしましょう。
必要証拠金が変動するケース【レバレッジ編】
つづいて、米ドル/円で通貨取引単位10,000通貨、為替レートは100円と仮定した場合の各レバレッジ毎の必要証拠金を以下に示しました。
計算式は以下となります。
2倍・・・500,000円
5倍・・・200,000円
10倍・・・100,000円
20倍・・・50,000円
25倍・・・40,000円
レバレッジが高いと、エントリーする為の必要証拠金は少なくなりますが、相対的にロスカットや追証リスクなどが高くなってしまうので、ご自身の資金バランスを考慮した上でレバレッジ率を決めるようにしましょう。
通貨ペア毎の必要証拠金一覧
(前提条件:DMM FX)
通貨ペア | 必要証拠金 |
---|---|
USD/JPY=110.693 | 44,277円 |
EUR/JPY=120.834 | 48,333円 |
GBP/JPY=131.401 | 52,560円 |
AUD/JPY=65.643 | 26,257円 |
NZD/JPY=64.659 | 25,863円 |
CHF/JPY=113.677 | 45,470円 |
CAD/JPY=77.728 | 31,091円 |
ZAR/JPY=6.377 | 2,550円 |
EUR/USD=1.09154 | 48,324円 |
GBP/USD=1.18716 | 52,560円 |
AUD/USD=0.59295 | 26,252円 |
NZD/USD=0.58419 | 25,867円 |
USD/CHF=0.97395 | 44,293円 |
USD/CAD=1.42431 | 44,292円 |
EUR/GBP=0.91970 | 48,342円 |
EUR/AUD=1.84146 | 48,337円 |
EUR/NZD=1.86974 | 48,338円 |
EUR/CHF=1.06293 | 48,341円 |
GBP/AUD=2.00257 | 52,562円 |
GBP/CHF=1.15584 | 52,565円 |
※必要証拠金は調査日の為替レートで計算、取引単位は10,000通貨。
必要証拠金の計算が面倒に感じる場合は、各FX業者が公式サイト等に用意した必要証拠金シミュレーターを使えばすぐわかります。
FXの証拠金に関するQ&A
FXの証拠金が不足した場合はどうなるの?
FXの証拠金が不足した場合、まずはマージンコールが執行されます。
マージンコール内に証拠金不足分を入金する事で解決します。
しかし、マージンコール内に入金できなければ、ロスカットされてしまいます。
少ない証拠金でトレードする方法は?
少ない証拠金でトレードしたい場合、レバレッジの高いFX業者または最小取引単位の低いFX業者を選ぶ必要があります。
日本のFX業者は最大レバレッジ25倍という規制があるため、最小取引単位の低いFX業者を利用すれば少ない証拠金でトレードできます。
FX口座に預けた証拠金はどのように管理されている?
FX業者のFX口座に預けた証拠金は通常、明確に分別されています。
仮にFX業者が破たんした場合でも信託保全先から返金を受けられます。
詳しくは各FX業者のHPもしくは規約書類等をご欄下さい。
まとめ
今回はFXにおける証拠金について詳しく解説してきました。
証拠金はFXにおいて重要な位置を占め、保有できるポジション量やロスカットまでの水準を推測できます。
必要証拠金や証拠金維持率等は普段FXでトレードをする場合、そこまで証拠金について考えることはないかもしれませんが、大事なことなので覚えておくようにしましょう。
FXは考え方次第で利益を着実に生み出す事が可能です。
FXの特性上、短期的に利益を大きく取りに行けるので、ギャンブル性が高いようにも思えます。
ただ「FXで負けてしまう行動を徹底的に抑える事」で、着実に利益を生み出す事ができます。
ぜひ、堅実なFXライフを送るための考え方をご欄下さい。